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ぴろりろりん、と僕のスマホの音が鳴る。友人からのメールだ。先日久方ぶりにあったエーデルローズに入る前の友人からだった。

えっと…、ん?え?なにこれ、ハァ?!真面目に言ってるの?えっと…、彼以外にもしてる人が…いる…?!

にしても…ふふっ、ちょっと彼の元に行かなきゃ。

 

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寮の中をパタパタと走って食堂に向かうと、もっしゃもっしゃとご飯を食べてるタイガくんが見える。

「あ、いたいた、タイガくーん!」

「んあ?なんだよ。」

「いや?友人からすごい話を仕入れたから…、これ、みて?」

 

そういって僕のスマホをそっとタイガくんの目の前に置く。それを手に取ってスクロールしながら読むタイガくん。

 

「おう…って、これポテシェイじゃねぇか!なんだ…、裏メニューのポテトINシェイク…そうそう、バニラ味じゃないとな、で…、アメリカでは一般的で、某チェーン店でのみ見られる現象…、ほら!俺の味覚は間違ってなかったじゃねぇか。前からうまいって言ってんだろ?そう、俺はアメリカン。このポテトの塩味がいいんだ。」

「…はぁ。僕には全くわからないけどね。でね、これ。」

 

そう言って見せたのはまた別のポテシェイの記事。正直こっちが本命だ。さて、どんな反応をするのか…。

 

「ふむふむ、女子の間で流行っている…女子の間?!」

「タイガくんの味覚は女の子だったんだねー。」

「はぁ?!そんなこと言うとなぐるぞ!」

「でも僕記事に書いてある事実を言っただけなんだけど。」

「うっ…。」

 

押し黙るタイガくんを横目で見ながら、少しだけ心の中で女の子と同じって言われたのが相当嫌だったんだろうなぁ、なんて思ったのだった。

ま、それだからといってタイガくんがポテシェイをやめることはないんだろうけど。

そうして意識が浮上したタイガくんがポツリと言い始める。

 

「…くっそ…、」

「なに?」

「…そろそろハンバーガーにかけるべきかも知れない。」

「何を?!」

「シェイク。」

「ピクルスはどうするの?」

「最近抜いてもらってる。」

「面白くない。」

「なんでそうなんだよ、てめぇ。」

「だって面白くないじゃん…。」

「だからなんでだよ…。」

「そういえばケチャップは?」

「うーん…ネックはそこだよなぁ…。」

 

 

そしてそんなタイガくんの言葉を聞きつつ、ずっと聞き耳を立ててたカケルさんの「ポテシェイの波が来ている…!」の小さな声は聞かなかったことにして、僕は机に突っ伏したのだった。

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