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Side ルヰ

僕はルヰ。

一応…元天使?

たまたま見初めた相手が悪魔だっただけ。

相手の彼はとっても可愛くて…、それでいてー…、とっても残酷。

そこが好きなんだけれども。

…とそんなことを考えつつ、いろんなポーズを取ってる時だった。

 

「ルヰくん、なにしてるの?」

「あぁ、シン!…ふふ、なんでも」

「ないポーズじゃないよね?…僕の元から逃げるっていうの…?そんなこと、僕、許さないって言ったよね?」

「あぁん…!離れるなんて考えたこともないよ…!君のことが好きすぎるから…ここにいるんじゃないの?」

 

彼ーシンは一瞬凄い…あんまり人に見せられないような顔をして、それからふうっ、と1回ため息。薄らと笑みを作って僕を抱きしめる。

 

「ルヰくんが…、ルヰくんのこと、すき、だよ…?だから…、逃げないで…?」

「うん、逃げないよ…?だから、そばにいて?」

「うん、うん…!ふふ…。」

 

いつもの事だけれど、その時の彼の尻尾はとってもくねくねしていて可愛らしい。

嬉しいのがそっちにも現れるんだろう、と思ってるんだけど。

 

「ほら、ルヰくん。朝ごはん食べよ?今日のご飯はね…、」

 

そう言って羅列される言葉はやはりと言ってはなんだが血なまぐさい。

自分からはとても口に運ぶ気になれなくて毎食毎食シンに食べさせてもらってるような気がする。

 

「ん…、」

「あぁ、ごめんね?ルヰくんはもともと天使だもんね…。こんな料理しか出せなくて本当にごめん…。でも、食べないと。死んじゃうでしょう…?」

「うん…、わかっては、わかってはいるんだけど…。」

「ふふ、今日も口移しで食べさせてあげる…。いっぱい、キス、しよ…?」

 

その時のシンの顔に、ゾクゾクとしたものが背筋を走る。

甘くとろけた双眸…なのに引き込まれる、昏くて血のように紅い瞳に、まるでぼくを捕食せんとする表情。

本人無意識でやってるみたいなんだけど、とってもお腹に来る。

そうして食卓で隣同士に座って、僕の食事をおもむろに口の中に入れて…、そしてそのまま僕の唇を奪う。そうして舌で唇を割られて、血なまぐさい料理が口の中に入ってくる瞬間、舌と舌を絡ませられる。食べながらくちゃ…にちゃ…、という、一般的には響かないであろう音が食卓全体へと広がっていく。

僕が恍惚とするタイミングなんて分かってると言わんばかりに口内を荒らし、僕が飲み込んだのを確認してから口を離し、それからまた次の一口を口に入れて、同じことの繰り返し。

その時ばかりはシンの持ち前の可愛らしい顔が、明らかに捕食者の顔になる。

きっと僕のことを食べたいに決まってる。でもそれをしないで耐えてくれているのは、僕のことが本当に好きだからなのだろう。

そんなこんなである程度を口移しでもらった後、シン自身の食事。

本人はまぁぺろりとすぐに食べ終わるんだけど。

これが毎朝の風景。

 

そうして今日もここでの一日が始まるのだった。

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Side シン

うーん…と朝起きて背伸びをする。うん、今日も身体の方は万全。…だけれど、自分の隣を見ると、愛しい相手がいなくなっている。

 

「ルヰくん、どこ…?いなくなっちゃったの…?…ふふ、逃がさないから…、」

 

そんなことを呟きつつ、家の中をぐるり。

一番日の当たる部屋で何やらポージングを取っている。

そんな時の彼の顔は輝いているんだけれどー…少しだけ、ほんの少しだけ自分の悪魔としての本能が、この愛らしい天使を部屋の中に監禁して…それから蹂躙してやりたい、そんなことを考えてしまう。

だめだ、と脳内を切り替えつつも、声には出てしまう。

 

「ルヰくん、なにしてるの?」

「あぁ、シン!…ふふ、なんでも」

「ないポーズじゃないよね?…僕の元から逃げるっていうの…?そんなこと、僕、許さないって言ったよね?」

「あぁん…!離れるなんて考えたこともないよ…!君のことが好きすぎるから…ここにいるんじゃないの?」

 

ルヰくんのその言葉を聞いて、一応は矛先は抑えられる。多分、この心の動きは顔に出ている。ふうっと一息ついてから、彼のためにがんばって笑顔を作り、それから彼に近づきそっと抱きしめる。

 

「ルヰくんが…、ルヰくんのこと、すき、だよ…?だから…、逃げないで…?」

「うん、逃げないよ…?だから、そばにいて?」

「うん、うん…!ふふ…。」

 

でも僕は知っている。その時のルヰくんの翼が、微塵も動かなくて…、あぁ、この翼をもいでしまいたい。だけれどそんなことをしたら嫌われる。そんな葛藤ばかりだ。

 

「ほら、ルヰくん。朝ごはん食べよ?今日のご飯はね…、」

 

気を取り直して、今朝のメニューを羅列すると、やはり拒絶の目。ルヰくんにはやはり酷なメニューなのだろう。

そりゃそうだ、悪魔が主食としているものは「天使」そのものなのだから。

天使を狩ってきて、そうして家で捌いて…ある程度しか調理をしていない。

それでも食べてもらわないと。食べ物はそれしかないのだから。

 

「ん…、」

「あぁ、ごめんね?ルヰくんはもともと天使だもんね…。こんな料理しか出せなくて本当にごめん…。でも、食べないと。死んじゃうでしょう…?」

「うん…、わかっては、わかってはいるんだけど…。」

「ふふ、今日も口移しで食べさせてあげる…。いっぱい、キス、しよ…?」

 

そして、僕に出来うる限りの甘い顔を作って食卓までエスコートをする。

そうして食卓で隣同士に座って、ルヰくんの食事をおもむろに口の中に入れて…、そしてそのまま彼の唇を奪う。そうして舌で唇を割って、血なまぐさい料理を彼の口の中にいれた瞬間、舌と舌を絡ませる。それゆえ、食べながらくちゃ…にちゃ…、という、一般的には響かないであろう音が食卓全体へと広がっていく。

彼が恍惚とするタイミングなんて分かってて口内を荒らし、彼が飲み込んだのを確認してから口を離し、それからまた次の一口を口に入れて…、と同じことを繰り返す。

その時ばかりはなんでルヰくんは天使なのだろう、と思ってしまう。

彼のことは食べたいに決まってる。でもそれをしないで耐えているのは、単に彼のことが好きだからだ。

そんなこんなである程度を口移しで与えた後、僕自身の食事。

まぁぺろりとすぐに食べ終わるんだけど。

これが毎朝の風景。

そうして今日もここでの一日が始まるのだった。

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